【外信コラム】上海余話 心のない「愛」なんて
「『●』に『心』がなくとも愛は大切」。簡体字と呼ばれる画数を減らした中国の漢字を題材とした公共広告だ。日本も戦後、教育普及の一環として当用漢字を定めたが、中国ではさらに簡素化の度合いを進めて、部首の大幅な省略や発音に合わせて別の部首をあてるなど、日本人からみても不思議な漢字が多い。
●はその一例だが、伝統的な正体字(繁体字)を使う台湾や香港の人たちからみれば、「中国(本土)人の愛には心がこもっていない」ということになる。
経済的にも人的にも交流が拡大する台湾や香港からのそんな声が、中国も気になっているのだろうか。
公共広告に触発され、中国のネットにはこんな書き込みも相次いでいる。簡体字では「導」を「★」と書くが、「それは中国の指導者に老子の説いた『道』がどこにもないからだ」。
最近は「▲道」がやり玉に挙げられている。正体字は「鐵」だったが、「▲道は分解すれば金(賠償金や巨額の建設コスト)も道も失った」という。温州で起きた高速鉄道の事故へのずさんな対応や、安全性を置き去りにした建設ありきの急ピッチな計画が大惨事を招いたことへの反発だ。
漢字のもつ本来の意味から乖離(かいり)した簡体字が示すところは意味深長だ。日本人にもちょっと耳が痛いが。(河崎真澄)
●=受の又を友に
★=巳の下に寸
▲=鉄の簡体字
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